大失敗

というわけで,先週は、カルテを写していたのだが,僕の中では今週からは、患者を取る予定になっていた.予定どうり、ジェンが帰ってくるので,少しはいろいろやりやすくなると思っている。今日は、ボストンマラソンの日だ.日本でも、ボストンマラソンを知っている人は多いと思うが,ここではボストンの祝日という感じで,多くのところが祝日扱いとなる。残念ながらか,幸運にもか、病院は,変わらず営業していた.少し患者の数は少なかったかもしれないが。

したがって、本来あるべき、朝のジャーナルクラブはなかった。しかし、あるといけないと思い、一応そこの場所に行くと、誰もいなかった.暫く、外来で待っていると、なぜかジェンがやってきていたので,おひさしぶりという.早速、今週からは、患者を取りたいというと,分かったといってくれた。一緒に、入院患者をひととうり見る。全部で5人ほど見て,一緒にご飯を食べた.ジェンにとっては、一週間ぶりの仕事なわけで、患者を把握するのが大変みたいであった.
一緒にご飯を食べながら,ボストンマラソンの話をする。マラソン選手は、僕らが短距離走を走るのと同じスピードで走るのだというと,皆がビックリしていた.ジェンがいると、気を使ってくれて,会話を振ってくれるので、やはり、この人はいい人だなあと思う。

午後は外来を2時間ほど見ていると、ジェンのポケベルがなったので,「とりあえず、患者を見に行くか?」というので、入院患者を見に行った.一瞬だけ、ならいいかとおもい、ビーコンストリートまで歩き、ボストンマラソンを2秒だけ見て戻ってくる。ゼッケンをつけている人だけあって,結構早く走っていた.ボストンマラソンは、ゼッケンをもらうのにも一苦労らしい.みなで、almost thereとか、そんなことを叫んでいた.全部で、12分ぐらいかかった。

早速、入院病棟に行き、そこで、30分ほど、汚い字で書き連ねてあるチャートを見て,患者さんに会いに行くと、なんと患者さんが寝ていた.うーん困ったなあと思いながら,そうはいっても、今日は勝負の日なので,ここで責めなければいかんと思い、ノックをして、患者さんに起きてもらおうとしたのだが,遠慮しながらなので,起きてくれない。最終的には、結構がんばって鳴らしたので,”うーん”と起きてくれたのだが,”I am sorry”などといいながら2秒ほどでまた寝てしまった.困ったなあと、おもいながら、とりあえず様子を見ようと、また、チャートを見て,とりあえず、抗生物質とって無いけどなあと思いながら,薬疹ということでレポートを書いた。そして、30分ほどして,病室に行くと、患者が起きていた.よかった!と安心して,皮膚病辺を見せてもらうと、汗腺に一致して,紅斑が腋窩,背中、鼡径部にあったので,これは”汗疹だ!!”とおもい、汗疹に関する質問を何個かした.汗を良くかくというし、太っているというし、手術の後だし。と、自分の都合のいい部分だけをあつめ、そして、汗疹をインターネットで調べて,また、追加の質問をしにうかがった.患者さんに、痒いのはつらいでしょうね,これは多分汗疹だと思います。一応治療法があるので、、、などと話をした.
そんなわけで,報告書を書いていると、外来が早く終わったということで,ジェン、ハンナ、シェン、ミッチェルの4人が勢ぞろいして来ていた.普段は、ジェンしか来ていないことを考えると、僕の初めての、プレゼンをわざわざ聞きに来てくれたみたいであった.ありがたいなあとおもいながら、半分ドモリながら,”汗疹”だと思います。”こんなこともこんなところも、一致しています”と話すと、納得してくれた。

そして、患者を見に行くと、、、、、3秒も患者を見た瞬間、ハンナが、患者にこれは薬疹です。抗生物質を飲んでいますか?などと聞きはじめる、、、、そして、戻ってチャートを見ると、手術中に抗生物質を使っていたみたいで,少しへんなのだが、投与後、3日で薬疹が出たという結論に達していた.一般的には薬疹が出るには1週間かかる。したがって、手術後3日ではおきにくいのだが,もし、昔に感作をしていれば、こういうこともあると説明された。

そんなわけで,いきなり最初のプレゼンでしかもみんなの前で、大失敗をしてしまったわけで,,,正直、立つ瀬がなかった。不思議なのは、こういうとき、専門家の意見はキチンと一致する。中国からきたシェンも薬疹だといっていた.

ほんと、立つ瀬ないなあと思いながら,,,皆のあとをついて、ほかの入院患者のラウンドを終えた.帰り際に、ジェンに”今日はいい経験をさせてもらった.ありがとう”といって,さよならをいった.そのあと,外来に戻って,チャートを写していると、少し心が落着いてきた.
明日からもがんばろうと思い、家に帰って,宿題を終えて、寝る。

今日は大恥をかいてしまった.ほんと、はづかしい限りだなあと思いながら,一日をおえる。どうやったら、彼らのようになれるだろう?