wisdom spot

hisahiccup2005-04-11

さて、新しい月曜日だ.今日もジャーナルクラブから始まる。今日のジャーナルクラブは基底細胞癌のの再発の話であった.微妙に統計のことで先生が変なことを言っていた.まあ、医師が統計が苦手なのも、日米で代わらないようだ.ただし、若いレジデントが,それに対して,キチンとフォローをいれていた.そして、そのあとは外来の見学だ.
ジェンがいないので,少し寂しいのだが、仕方が無く、ジェンの換わりに入ったキャロラインにつく。キャロラインも、非常に優秀でいい人なのだが,なぜかなじめない。アメリカ人らしく、表面で仲良くすることが非常に得意なタイプの人である。しかし、実際、なんとなく怖い感じがする.こんなことを言うことは本当に正しくないのだが,人間にはオーラというのがあり、なぜか、キャロラインはそれが少し怖い人のような感じがする。話をすると、いい人だと気付くし、患者さんに接しているときの彼女は本当に見事なのだが,病棟ではなんとなく、そのオーラのせいで損をしているような気がしてしまう。まあ、一度も昼ご飯を一緒に食べていないので,よく分からないというのが正解なのだが.ここの他の人がもつ、意味もなくやたら明るい感じはない。というよりも、最近生まれたかわいい子供のことで頭がいっぱいなので,仕事は仕事と割り切っているのだろう。まあ、ジェンが良すぎたというのが本当は正しい評価なのだが。

彼女の外来の中で,一番印象に残っているのは”脂漏性角化症”のことをwisdom spotと呼んでる事だ.これは年をとると増えてくる皮膚構造物で,病的な意義が無いものだ.アメリカの年よりの背中を見ると、大体一つぐらいを持っていて,年とともに増えていく感がある。脂漏性角化症に対して、これがwisdom spotなのですよというと,患者さんは結構喜んでいた.アメリカでは、お年寄りに対する風が非常に強い。この国は、若い力をやたら強調する国であるため、お年よりの虐待であるとかも結構数が多いという。したがって、このようなことを言うとすごく喜ぶ人が多い。以前、ジェンも、この間,僕が外来でお年よりが服を着るのを手伝ったりしていたら,日本はまだ年寄りを尊敬する文化があってそれはいいことだと思うから,その態度を続けるといいとアドバイスをくれたりした。逆にいうと、それだけ、ここの年寄りに対しての風当たりが強いと言うことになる。もっとも、年寄りは年寄りのコミュニティーをキチンと持っていることも多く、年寄り同士の旅行であるとか、コミュニティーは結構あるようにも思った。むかし、こちらのretired communityを見学させてもらったときは、その豪華さに結構ビックリしたものだ.ご飯を共同でレストランのようなところで食べ、皆で建物内の教会にいく、そしてそのあと、ゲームやらハイキングやら運動やらをして一日をすごす。入居費用もそれなりに高く、また、年齢制限がある.

今日の昼は、ここを訪問している上海の皮膚科の助教授シャンと食べた.どうも,中国で反ニッポン運動があったらしく新聞では日本と中国なかか悪いことになっているらしいのだが、お互いそういうことを気にする性格ではないようだ.日本の話とか,ここの医療の話をする。特に興味深かったのは、レーザー治療の話だ.いわゆる若作りのための治療なのだが,彼女はそれの専門らしく、日本にもそれを求めておとづれたことがあるといっていた.ここの病院の医師は、美容系の皮膚科は、チェスナットヒルの上にもう一つ病院を持っていて,そこでおこなっている。結構法外な値段ではあるらしい。この間きいたら、脂漏性角化症を少し切り落とすので、15000円ぐらいするといっていた.29日にその見学に行くというので,僕も連れていってもらうことにした.

そんなわけで、外来を見ておしまい。本当は、入院患者とその他の勉強会があったのだが、ジェンがいないので,余りプッシュはしないでおいた.この勉強会は余り役立たないと思うよという言葉に従って,帰った.今日は,7人ものコンサルトが会ったらしく、とても忙しいみたいであったし、ストレスを感じているようであった.まあ、宿題もしなくてはいけないし、ちょうどいいと自分に言い聞かせる。海外では、充分なセイフティーマージンを取るのが基本だ.

外来のチャートはそんなわけで今日は見れなかった.まあ、しかたない。

写真は2年前にとったアメリカのretired communityの写真。