マーケティング

hisahiccup2005-03-31

昨日は,本当に緊張した日であった.こんなに幸運な目に会ったのだから、何か成長をしなければ申し訳ない。成長をしてできれば社会に還元をしなくては申し訳ないと思うのだが,実際何をしたらいいのだろう?

いずれにせよ、今日が、また始まった.
今日は、2つほどの授業を聞かせていただいた.本当に感謝の言葉もない。ここで、皆さんに伝えることで少しは罪滅ぼしにもなるといいのだが,,,

一つは、marketingに関する内容であり、もう一つはtelemedicine((遠隔医療)正確には電子機器をつかった近未来医療のようなものであった)であった。後者については、その内、病棟を学びながら報告させてもらうとして(一応、公演者が皮膚科の先生だったので,あとでいろいろまた紹介してくれると約束をしてもらった.),今日の日記ではこのmarketingについての話をしようと思う。本当の題材はpromoting new technology at Health Careなのだとおもう。

話は2002年にさかのぼるCedars-Sinai Health System[写真internetから]というLos Angelsで一番大きく、しかもリッチでそして芸能人をいっぱい扱っている病院で、ほぼ世界ではじめて電子カルテを導入しようとした。34 million dollar(34億円)という非常に巨額な資本を投入し,今でも画期的な、間違った治療を行わないようにアラーム機能をつけ、薬同士の相互作用まで考慮したアドバイスをする機能をつけた.(文献<=ユーザーを作らないと読めないかもしれません。)


その後どうなったか?



2ヵ月後、このシステムはゴミと化して,誰も使わないものとなった.青葉病院を始め現在、いろいろな病院が電子カルテとして医師の満足の行くものを作っているのに未だに、Cedars-Sinai Health Systemは電子カルテを導入することができていないでいる.

この理由には,いろいろなものがあるのだが、必ずしも、良いものが売れるとは限らないのとおなじことだ。どのように宣伝していったら良いかの選択をこの病院では間違えたのだと思う.人には、物事をすごく早く取り入れる人(early adapter)と、消して最後まで新しいものを認めない人(retarderなど)がいる。そのような人たちをいっしょに扱うとひどい目にあうというのがこの話であったのではないだろうか.

昔,何かの本で読んだのだが,人は物事を最初は、戸惑い、驚きを持って認識し、時には拒絶する.その内,なれてきて、愛するようにすらなり,そして最後にはそれに固執することになる.これが物事の認識の機序であるといわれている。そして、それは、そのタイムコースは人によって異なるものであり,ある人は早く、ある人は鈍い。

もし、組織にいて,何かあたらしいものを始めようと皆さんがしたとする.そのとき,どうしたらいいかというのがここの話であった.それは、あたらしいものをすぐに取り込む能力に優れたearly adapterといわれる(opinion leaderという別名もある。)人たちをうまく探し出し、その人たちに教育をしていく.そして,その人たちから,徐々に、比較的適応の鈍いfollower, retarderへと情報を広げてもらうということをすることが一番良いということだ。もし、その方法を行わないでいきなりすべての人をあたらしいものに触れさせると、拒否反応を起こし、結果的によいものであっても二度と受け入れられないものになってしまう。

この分析は、経営学的には,特にITなどのあたらしいものをどのように売るかのマーケット戦略で行うことである。その、マーケッティングでは、普通はmulti mediaをどのようにして選ぶかという選択にこの分析が使われることが多い。

もし、皆さんが何かのリーダーになって,あたらしいものを始めようとするときは,人間のあたらしいものに対する感受性はさまざまであり,もし、鈍い人も一緒にそのストレスに浴びせることになると、拒否反応を起こし、全てを駄目にしてしまうこともあるということを知っておいて欲しい。そして、そのような人もきちんと理解を示すような方法を、見つけなくてはいけない.結局,人のうわさほど他人を変えることのできる情報伝達手段はないのだ.

変化には時間と,世間の理解が必要なのだ.


このJAMAの論文オピニオンリーダーを通じでガイドラインを広めることによって、ガイドラインの広がりが早く、入院期間が短くできたという論文です.皆さん興味があったら是非よんでください.

また、何か広めるときはこのような人を探して教育をしていくことが大事らしい。また、オピニオンリーダーは身分とかは関係なく,普通の平医師だったりします。当然,教授とかであることが多いのもそうなのですが.