HBS

hisahiccup2005-03-30

今日は5時におきる。朝起きて,いつもどうりサンドイッチを作って食べ,そしてひげをそった.普段よりも、今日は気合の入る日だ.僕が,無精ひげをいつも生やしていることは僕を知る人なら知っていることだろう。若干、ひげが生えていた方がいいと思っている部分もあるのだが,大事な日にはそらないわけにいかない。シャワーを浴びて,ひげをそって、そそくさとしながら時間が過ぎるのを待つ.7時になった.よし、出かけるとするか。と、家を出る.ホント,ここまで時間を気にしているのはよほど好きな人とデートするときぐらいなもんだ.

ここは,ワシントンスクウェアというところの近くにあり,そこから"T"と呼ばれるボストンの地下鉄丸の内線のようなものにのり,クーリジコーナーまで良く。ハーバードストリートのある場所だ.そこからバスに乗って,目的地を目指す.バスに乗り、降りそこなうといけないので,近くの人に頼むことにした.
"Business Schoolについたら教えてくれませんか?”
"Businessスクールって,ハーバードビジネススクールのことですか?"(ちょっとビックリげに)
"そうです。HBSです。"
”そうですか、分かりました.橋を渡る前なのですよね.”
ただ訪問するだけの僕がえらいわけでは全くないのだが、少し声が上ずり、心拍数も上がった.そうだ、今日はとある方のご好意により,世界のエリートの集まる場所、ハーバードビジネススクールに授業見学に行く日なのだ.HBSに対しての、ビジネスマンの憧れというか,羨望というかは非常に強い。アメリカにとどまらず、日本、世界の優秀な経済マインドをあつめ、さらにそれをエリート教育する場所だ.ここを卒業した人はリーダーとして生きることを宿命付けられ,そのプレッシャーと戦っていくことになる.若輩者で、権威に弱い僕はこれからどんなことがおきるのかと思いながら、ブロック調でみごとな建物の中に入り、待ち合わせの人に会うのをまつ。そして、教室の中に案内をしてもらい、教室の前から3段目の一番左の席に座らせてもらった.

今日は,日本の医学部の方がいらっしゃっています。と、クラスの皆に紹介してもらうと拍手がおきた.あれ、、正直、チョコット盗み見る予定だったのに、何でこんなことになってるんだ?と戸惑いながら、とっさに立ち上がって,日本式の最敬礼をしてしまった.2秒ほど止めて顔を上げると、拍手が止まったので,席に座る.よかった、話すことなんて準備してきていないし、ホント困っちゃうよ.と内心、少し残念なのと安心したので(当然安心したほうが多いのだが)微妙に戸惑いながら、気持ちを整えると、もう授業が始まっているようであった.

ここの授業スタイルは世にも有名な、ケースメソッドといわれるもので、例えば、トヨタの看板形式であるとか、セブンイレブンがなぜ成功したのかなどの(日本からのケースはこの2つだけだったと思う。)さまざまなケースを皆でディスカッションして,学んでいくという形式だ.チュートリとか,とあるところでやったカンファレンスとかに似ていると思う.といっても、スケールと人数が全然違うのだが.一説によると、HBSはこのケースを1個作るのに数百万のお金をかけて、それを、企業、他のビジネススクールに売っているという。今回の授業は”倫理についての話であった.”ある秘密情報を扱ったら大もうけできるかもしれないときにどうするのか”ということであったと思う.正直、”倫理”の授業なんてあるの?ビジネススクールで?とおもったものだが、こういう内容ならば少しは納得できた.よく言われるのだが,経営の世界には倫理という言葉がない。多くの場合は、株主の最大利益確保であるとか,そういう言葉によってこの言葉は置き換えられると思う。その日の会話は,,,
(ここで30分です.申し訳ないけどまたあとで.その内,ねたがなくなるでしょう。)

その日の会話は、まずは,君はどうするかという質問を電光掲示板で表示して始まる.机に3つボタンがあって,exit,loyality,speak outの三つのボタンを選択すると、クラス中の意見が総計されてプロジェクターでみなの前に出てきた.そこで、議論が始まる.その議論の中で一番印象に残ったのが,”私はそういった情報を扱いません。十分生活もできて、子供をきちんと育てることができる限りは、これが損だとしてもしません。というか、できません。”といっている黒人女性がいたことだ.この発言は、半分、議論の中では、ゴネに近い(だって、そういわれたら何もいえないジャン)のだが、今日の会話の中で一番倫理という発想にちかったと思う。他の人はというと,大半がillegalかどうかの話になり,それについて議論をして,先生が、一応、弁護士に聞くと、これはillegalにならないらしいよ。というと,そこで話の方向は変わってしまった.今度はこの状態でどのようにサクセスするためにこれを使うかという話になる。そして,実際にはこの人はこうしたということを話して終わる.この授業の結論は、まず弁護士に聞くが何をする上においても正解であるようだ。つまり、この授業も、倫理の話ではなかったと思う。倫理とは、カントとかミルによると全員の最大限の幸福であるとか、何々をしてはいけないという議論であって,法律の基となるものでもあり、法律の穴を抜けたものについての話である意味合いが強いと思っていたのだが,やはりビジネススクールでは、いわゆる倫理の話はしなかったと思う。トータルとして、違法でないかと、個人のサクセスについての話であった.しかし、議論の仕方については本当に皆切れがあり,きちんと皆授業に参加して,しかも、20ページ以上にわたるケースを全員読んできているみたいであった.やはり世界のエリートである。

2時間目は、いわゆるゲーム理論に対してのものだ。バランスシートを見ての議論になって,先ほどの授業とはがらりと教室の雰囲気が変わり、皆の目がすごく厳しくなった.ここが、本領発揮だ.最初に、先生が黒板に書いたマトリックスを埋め始めたのだが、議論はすぐにそのマトリックスを超えた買収であるとか,協定であるとか,政府に働きかけるであるとか,そういう発想が普通に出てきた。戦略として,exit costを上げることなどを話し始めたときには正直、この発想はどう生まれるのかと思ってしまった.businessスクールの人がいるだけで、ここまで会社の戦略が変わっていくのだと思った。今日の中で、一番、難しいケースでもあった。すべてを話すには、時間が足りないみたいで,細かい枝葉にわたっての議論はできなかったみたいだが,それでもすごいと思った.日本に東大と京大があるように、ビジネススクールの世界にもハーバードとシカゴ大学がある。よく言われることだが,ハーバード大学は、理屈や細かいことよりも大体の意見を言ってしかも新しい何かを始めたがるのにたいし、シカゴ大学は、きちんとバランスシートの計算をしている。シカゴ大の人は、いわゆる、頭でっかちみたいなイメージも若干あり、未だに?市場は完全であると主張する人が結構いるという。したがって、細かく経済的な議論をしないで大筋を見極めて意見を言うところも非常にらしいと思った.

3つ目の授業はventure capitalの話であった。若干実体験をして実例を知っているだけに、ここの話に話に対しては自分の意見ももつことができた。ここの授業で話した内容は、実は数字のマジックなのではないかと思った。venture capitalが自分たちのお金を減らさないようにどのようなストックを発行すれば言いかという話であった.転換社債ストックオプションの話のようなものだと思う。(この回は、詳しくはケースを読めなかったので分からなかった。)しかし、ventureはその性質上一人の天才などによる、独占的な要素を期待されて始めるものだと思う.したがって、stockを100%持っていても、それほど強くmanagementが力を持つことは難しく、ごみを持っているだけになる可能性が高い。逆に、ベンチャーはその独占の要素がないならばベンチャーとして成り立たない可能性も高いのだ.そう思ったことを、名刺の交換をしながら、隣の席の人に話したところ、そういう授業も別の授業であると教えてもらった.つまり、授業体系のなかで、この授業を聞くことが不可欠なのだ。たった一日でそういう議論に加わることはできなかった.


今日は雰囲気に負けて,授業に出たら一発言という原則を守ることができなかった.というか,そんなことをしたら失礼であるという雰囲気がありそれどころでもなかったのだが,いろいろ思うところがあったのに話せない事もアメリカでいるといつも思う感情だ。つい悲しく思ってしまうときもある。しかし、ここボストンでは、すべての人が変なアクセントの英語を話している。したがって,英語がへたくそであったも、恥じ入る必要が無いところが少しカリフォルニアとかとは違うところだ.いわゆる世界のエリートを集めていることもあり、授業の7割ぐらいはinternational studentであった。そのような中でも、僕を紹介してくれた日本の方は一番肝の発言を一番大事なときにして授業の方向性を正しい方向に導いていたと思う。日本人でもここまでできるのだ,,と打倒James(ERでハーバード医学部出のやなやつって確かこの名前であったと思う)に対しての闘志を燃やすことにした。みてろよ、james、 I am Japanese!!One of the most intelligent citizens among the world.だ。

昼の食事のときは、こちらにいらっしゃっている日本方といろいろ話をさせていただいた。各学年で、6名ほど来ているらしい.全員、オーラがあり、賢く、しかし、気さくな方であった.一番はなしをさせてもらったのは大蔵省からの方で,医療費を削減することについての意見を求められた.削減することは、どうともいいかねないですが,もっと納得いくように資材を分配して欲しい。医療財政の話でも、8割は2割に基づくという法則は成り立つので、急性期のコントロールとかをより標準化して,CHDFの過剰な使用などを防ぐことはこれからの普通の人が質の高い医療を受けるためには仕方がないのではないかと思うことを話してみた.メアドを交換して,これからも何かの折に話をさせてもらうことになった.それと、いつものとうり、健康な食事についてのねたを話した.そうだ、あの研究は殆どハーバードの看護婦でなされていたと思う。エーテルドームを始めまだ見学をしていないなあと思った.

紹介してくれた方はいろいろこれから打合わせがあるらしく、そんなわけで見学は終了した.意外と早く終わったので、かえって、トン汁を作って食べて勉強して寝た.
いやはや、たのしかった。というか、緊張した.ひょっとしたら,今後を含め、人生で一番ハイソのグループに入っていたのではないかと思う。キットそうに違いない。